ルールを守って酒を嗜みましょう。

ルールを守って酒を嗜みましょう。

2018.06.23 | ローカル酒場

在宅ワークになり3年目、運動不足過ぎて太りました。
痩せ型なのに健診で脂質に異常が見られるから気をつけたまえ、という通知が届きました。
隠れ肥満か。厳しい現実を目の前に、ジムに通う決意を持ち、狸小路にあるリサイクルショップでジャージを買いました。
誰かのお下がりくらいが、私の運動への心意気とちょうど良い。

その帰り、気付けば20時過ぎ。
もうサクッと外で何か食べて帰ろう。

生まれ育った狸小路よ。
なんだか道に落ちているゴミが増えていないか。昔はこんなに目に付いただろうか。
そんな感慨にふけりつつ、観光客の群れを追い越し、フラフラ店選び。
優柔不断なので、立ち止まって表のメニューを見るも、また歩き出してしまう。
西へ西へ。
プリンスホテルに帰る観光客のごとく。

やっぱあそこだな。
わたしにはあそこがあったな。
目指す居酒屋へ向かう足も、雨が降り始めて、自然と早まる。
が、しかし。やはり現実は厳しい。
ガビーン。
大人しく帰れという天からのお達しか。

目的を失ったものの、狸小路も7丁目まで来ています。
店はまだたくさんある!
西11丁目界隈まで歩こうかくらいな気持ちで再び歩き出すと、ふと目に飛び込んで来た提灯。

こんなお店あったっけ。

アーケードのなくなる狸小路8丁目。よく通るけど、ここはノーマークだった。

おお、ザンギと焼き魚が食べたいぞ!

この前行った炉端焼きのお店で、すっかり炉端の魅力に魅せられている。(過去の記事→ふらっと一人で行けるのは類さんぐらい。も暇な時どうぞ。)

よし、魚をアテに飲むぞ!

残念ながらセンベロセットの時間は過ぎていたが、焼き魚全部300円って魅力じゃない?

一見さんには非常に入りにくい扉を思い切って開きます。
そんなわけで、今回おじゃましたのは
釧路炉端ダイニング ファミリー
でございます。
アウェーへのひとり旅。

入ると10人くらい座れそうなコの字のカウンターがほぼ埋まっていました。
常連が多いお店なのでしょうか、店員さんがこっちを見る目がやや厳しいです。
明らかに一人なのだが、「一人なんですか?」みたいな空気。
常連らしきサラリーマンが荷物をどけて、ひと席空けてくれ、コーナー席にちんまり座る。
これはやってしまったかもしれない。

ここからは、「ファミリー」に初めて一人飲みに行く時に押さえておきたい、暗黙ルールもお伝えしたいと思います。

ルールその1
料理のオーダーだけ紙に書きます。

おしぼりをくれた店員のお姉さんに、飲み物を聞かれ、ビールの小をオーダー。
プリン体は小サイズに押さえます。
ビールとおしぼりが来て、メモにオーダーを書いて、と言われます。
が、書いてる間にお姉さんが店の外へ出ていってしまいました。
ファミリーは基本的に放任主義のようです。嫌いじゃない。
メニューが壁にたくさんあって、シンキングタイムが長かったのは助かりました。(あと、全体にとてもリーズナブル)

そのわりに質素な自分のオーダー。「ザンギ3つ」「塩鯖半身」「茶豆」。

が、しかし。ここでも厳しい現実が待っていました。

鯖がない。

魚が全滅、という事実を炉端焼きの店に入ってから知るということ。
店主とおぼしき男性は思いの外若く、店の渋い雰囲気とややギャップ。
不漁で魚が全然入らなかったということをとても親しみやすく教えてくれました。これから宴会入ってるのに何出すんだよってね、という嘆きを気さくに私に話してくれます。
カウンターには一人飲み・二人飲みを合わせて5組いましたが、そのみんなの前に魚はありました。
タッチの差で食べきったということのようです。バットタイミング。

魚を食べたくて来たので、何かしらないか?と食い下がると、「身欠きにしん」と「ししゃも」の二択でした。
正直どちらもそんなに好きじゃありません。
食べやすい方がいいと言って、ししゃもを選ぶ。
だって炉端で焼いたもの食べたい。

茶豆と釧路名物ザンギを食べながらししゃもを待つ。

炉端焼きはジューシーで美味しい上に塩加減が絶妙。

ところでここのお店は見えるところに炉端はありません。おそらく奥の厨房にあります。
寿司屋のような魚介を置いておくショーケースがカウンターの前にありますが、曇っていて何も見えませんでした。

静かに私の中に親近感が湧いています。

ルールその2
箸は隣近所に取ってもらう

ややどうでもいいルールですが。
コーナーの席は手の届くところに箸がありません。
たまたま店主がくれるのを忘れたのかもしれないですが、放任主義なので、隣のサラリーマンに箸取ってもらった方が話が早かったというだけです。

混み合ってる時の一人飲みの醍醐味は隣の会話リスニング。
右隣の若いサラリーマンの男性二人の会話にほっこりします。

先輩スーツメンが「とにかく仕事が多くて終わらず、翌日早く会社に行くことになる。でもそれでも終わらない。だから俺はすぐ謝るんだ」と力説しています。後輩スーツはうんうん、と聞いています。
「絶対、明日俺は怒られる。でもそうするしかないだ。」とまだ続ける先輩スーツ。

明日もがんばってね。

左隣りのおじさまはお一人様仲間で、黙々とバイスのサワーを飲んでいました。すっごいピンクのやつ。
そして、タバコを吸いはじめ、私に一言。
「すいません、タバコ吸います」
タバコ臭は苦手だけれど、その一言があると「どうぞどうぞ」と言ってしまう。

そのまた隣の団塊世代のスーツのおじさま二人が一番楽しそうに話していた。
やはり日本を支えてきたという余裕がある。
九州から単身赴任でここの近くに住んでるというおじさまと、10年前に円山の好立地に買ったマンションが今価値が上がっててご機嫌という常連らしきおじさま。
後で聞いた話によると、このおじさま達はたまたま隣になっただけの一人飲み同士でした。
おじさんがおじさんをナンパしたんだよ!と楽しそうに言って、二人で日本酒をぐいぐい飲んでました。

アウェー感もまぁまぁ落ち着いてきて、そろそろ日本酒に。
釧路の魚が食べられなかったから、釧路のお酒を頼もう。釧路といえば福司。
ついでに日本酒のつまみももう1品と思い、1品追加するのにメモに書くべきか、とさりげなく女性スタッフに聞くと。

「そうですね、書いてもらっていいですか、ルールなので」

口調はもちろん優しいが、ずしんとくる言葉。
さらにもう一言。

「3枚までなので、よく考えてオーダーした方がいいかも…」

ルールその3
お料理のオーダーはメモ3枚まで

そう言われると焦る。
たけのこの天ぷらを頼もうと思ってただけだったのに、ついついそば味噌も書き加えましたね。

ちょこちょこと会話するチャンスに食い込み、少し場になじんで来た頃に気づいた壁の張り紙。

ルールその4
本店是完全会員制

場所柄多いのでしょう、おそらくアジア人観光客NOのお店のようです。
もしかして、初見のあの雰囲気、一人で入ってきた私が中国人に見えたのかもしれない。
今度から「一人なんですけど入れますか!?」とはっきりとした口調で言うようにしよう。

ちなみに、今日のところはルール4までですが、センベロセットを頼んだ場合はあと6つほどルールが増えます。
ぜひセンベロセットと焼き魚を楽しみに、一人で行ってみて欲しいお店です。

久しぶりに一人飲みで新規開拓したもので、ついつい話が長くなってしまいました。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

釧路炉端ダイニング ファミリー
営業時間:11:30~24:00 LO22:00
定休日:無休
TEL:011-205-0154
住所:北海道札幌市中央区南3条西8 島屋ビル B1F
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きんちゃん
きんちゃん
編集担当きんちゃん。年々酒が体に入っていかなくなって来たが、酒場の雰囲気とつまみが大好き。